「2010年前後に売れた日本の王道ロックの楽曲CDは?」と聞かれて、答えを出すのは難しい。
なぜなら、この時期、ロックはもちろん、CDが全体的に売れなくなっていったから。音楽ランキングには何枚も買うと握手会などの特典があるアイドルの楽曲ばかり。。
この現象にとまどうロックファンは多かったに違いない。
しかし、今この頃の楽曲を振り返ってみると、ロックアーティストたちが試行錯誤しながらこうしたCD不況に負けない斬新な楽曲を世に送り出そうとしてたことがわかる。
そこで、
2010年以降のロック重要曲を振り返りながら、ロックアーティストたちがCD不況の時代を乗り越えるためにした試みをご紹介します。
2010年以降のロック界の流行や歴史を知れば、日本のロックおもしろいことになってきてるな!と思ってもらえるはず。
歴史を振り返った邦ロック好きにはこんなのもオススメ!
それでは振り返ってみよう!
「草食ロック」の次は「踊れるロック」「激しいロック」!
BUMP OF CHICKENやASIAN KUNG-FU GENERATION、RADWIMPSなど、従来の男らしいロックではなく細身できゃしゃなアーティストが奏でる「草食ロック」が広まった2000年代中盤。
その波が落ち着いた頃に現れたのが「サカナクション」だった。サカナクションも細身できゃしゃという意味では草食ロック系統だったが、電子音を使ったダンスビートが斬新。サカナクションのような「踊れるロック」はレコード店で特集もされるように。
サカナクション「アルクアラウンド」(2010年)
一方、「草食ロック」の流れに対抗するように広がっていったのが激しいロック。
なかでもその後世界的評価を得るようになる「ONE OK ROCK」、ネットの投稿動画から人気を得た「神聖かまってちゃん」に注目したい。
ONE OK ROCK、神聖かまってちゃんは音楽、特に邦楽ロックの既成概念を自分の手で壊してきた。
そんな姿勢が、現状のロックシーンへの不満を抱いていた人々の心をつかんだのではないだろうか。
ONE OK ROCK「The Beginning」(2012年)
神聖かまってちゃん「ロックンロールは鳴り止まないっ」(2012年)
バンドのメンバーにピエロ、狼、のび太?音楽だけじゃ物足りない!
2010年以降、日本で有名になるバンドにはメンバーに変わった特徴があることが増えてきた。
ピエロのマスクを被ったメンバーがいる「SEKAI NO OWARI」、メンバー全員が狼の「MAN WITH A MISSION」、渋い大人の楽曲を歌うボーカルの名が「のび太」という「WHITE ASH」…こうした特徴を持っているから売れたというわけでは決してないが、覚えてもらいやすい特徴があるほうが楽しいのは事実だ。
だって、こうい特徴があると人に話したくなるでしょう?「狼が歌っているバンドがあって、それが結構いい曲でさ…」
SEKAI NO OWARI「RPG」(2013年)
MAN WITH A MISSION「FLY AGAIN」(2011年)
WHITE ASH「Crowds」(2013年)
急激に動き始めた2013年の邦楽ロックシーン
「ロックは売れない」が普通になってしまった感のある2013年。
しかし、ランキング外のところではそうした動きに開き直り、それでもいいものを作ってやろう、という気概のあるアーティストが増えてきたように思う。
第6回CDショップ大賞で注目を浴びた「KANA-BOON」、「[Alexandros]」といったアーティストはその代表例といってもいいだろう。
KANA-BOON「ないものねだり」(2013年)
[Alexandros] 「Run Away」(2013年)